日日読書

(にちにちどくしょ)最新おすすめ本のレビューです。

出会い、別れ、再開。挑戦、挫折、達成。「きっとうまくいく」

 

チックタック 約束の時計台

チックタック 約束の時計台 (にしのあきひろ 著)幻冬舎

「はぁ、もうダメだ。何もかもうまくいかない……」

 

大人になれば誰しも一度は絶望の縁に立った経験があるのではないかと思います。

 

そんな自分への処方箋としておすすめなののがこちら。

 

もはや言わずと知れたキングコング西野亮廣の絵本プロジェクト、『チックタック 約束の時計台』です。

 

別れや挫折は永遠たりえない

本書の一番のメッセージは

 

「今は『何もかもうまくいっていない』と感じているかもしれないけど、『いつかきっとうまくいく』と考えた方が良いよ」

 

ということだと私は感じました。

 

なぜそう考えたほうが良いのか。

 

それは誰にも最後まで結果はわからないからです。

 

スラムダンク安西先生もおっしゃっていました、「諦めたらそこで試合終了」だと。

 

人と人との出会い、チャンスとのめぐりあい、全ては絶望する必要はなく、最後はきっとうまくいくのです。

 

「うまくいかなかったらどうするんだ!」

 

私の中には、そうツッコミを入れる私も確かにいます。

 

しかし本書は「きっとうまくいく」を伝えるために作られたのです。

 

作家が伝えること

 

作家は自分が伝えたい、伝えるべき、伝えずにはおられないと感じたことを、物語に乗せて伝えようとします。

 

本書は冒頭より、不幸というか、うまくいかなかった過去を背負ったヒロインの物語があります。

 

物語中盤では大きな災いもあります。

 

「それでも、きっとうまくいく」

 

著者はその考え方を、その身体感覚を読後に感じて欲しくて本書を著したのではないかと私は考えています。

 

まとめ

なぜ著者が「きっとうまくいく」を伝えたいのか?

 

それは著者が全てに対し、そう考えることが肝要だと考えているからでしょう。

 

また、それを確信し、生き様として昇華させているからでしょう。

 

本書では時計台が12時を指すことを、うまくいくことのメタファーとしています。

 

 

誰だって、いつか必ず12時がくる。

 

 

「みんなにもくるから。きっとくるから」

 

 

関西訛りの著者の声が聴こえてくるようです。

 

 

 

その声を聴いて、読者の時計台が動きはじめることも、きっとあるのです。

 

 

チックタック 約束の時計台

チックタック 約束の時計台

 

 

 

最強の開運待ち受け男「SHOCK EYE (ショックアイ)」に学ぶ

歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣

歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣

SHOCK EYE湘南乃風)著 講談社

 

 

この本は、極めて珍しい類といえるでしょう。

 

なぜなら、本書を一言でまとめると、

 

「ゲッターズ飯田に『すごい運気の持ち主』と言われた人の本」

 

だからです。

 

※ちなみにゲッターズ飯田さんとは元芸人の有名な占い師の方です。

 

 

 

 

これまで、運を良くする習慣や、引き寄せの法則に関する本は多数ありました。

 

一生お金に困らない人の運の習慣 (中経出版)

一生お金に困らない人の運の習慣 (中経出版)

 

 

 

ですが、占い師に運が良いと言われた有名人がその一点で書籍化されたケースはありません。

 

著者のすごいところは、ただ本人の運が良いというだけではなく、

 

著者を待ち受け画面にしたらいいことがある

 

という恐るべき開運フレーズを持っていることです。

 

 

気になる本書の内容は……

 

 

最強の運気を持つ「歩くパワースポット」こと著者SHOCK EYEが本書で一体何を書いているのか?

 

それは2つに分かれています。

 

1.運を良くする方法

2.これまでの人生と人生観

 

正直、1に関してはあまり参考にならないと私は感じています。

 

なぜなら、著者は運を良くする方法をとっているから運が良いのではなく、運が良いと言われたから「それに見合った行動を」と、「強運者」としてそれらしい行動を始めたからです。

 

ただ、2の「人生」に関しては読ませる点が多々あります。

 

特に、父親母親との関係や、学校との関係、ミュージシャンとしての葛藤などは立ち位置の違いこそあれ、共感できる方も多いのではないでしょうか?

 

父親との関係が上手くいかなかった少年時代から、大人になって分かり合っていく話、

 

未だに母親を許すに至っていない話、

 

微細に表現されているわけでもなく、大げさに深刻さを出しているわけではないのですが、心がキュッと掴まれるような不安さや共感があります。

 

そして、そこから著者の「上品な強さ」を感じることができました。

 

自己を客観化して分析するのでもなく、激情に流されるのでもなく、自然体でこれらの悩みに立ち向かっている様が著者の魅力と言えるでしょう。

 

「若い時、僕もできなかったけれど、力や感情に任せてしまうことをやめて、自分の思う正義を、自分の言葉で説明できる力をつけられたらいいと思う。きっと、ムカついたことにはちゃんとした理由があるはずだから。それを大人は、理解しようとしないときがある。少し考えたらわかることも、昔は自分らもガキんちょだったのを忘れてしまっているから。気持ちが落ち着いたら、手紙でもいいから、なぜそうしてしまったか、自分の気持ちや言い分を素直に伝えたら、どうかな?」

(109ページ)

 

若者の親に対する悩み相談に答える言葉として、こんなに「隣りにいる」感じで語りかけてくれる文章が、かつてあっただろうか?

 

 

まとめ

何はともあれ本書には最大のご利益、SHOCK EYEスペシャル開運待ち受け画像が袋とじで盛り込まれております!

 

つまり、本書を購入すれば著者の最大の魅力である「強い運気」の恩恵を賜ることができるのです。

 

もちろん私も待受画面に設定しました。

 

(私のスマホの待受が湘南乃風メンバーになっている様は非常にシュールですが……)

 

 

さあ、あなたも本書を購入して待受画面に設定しましょう。

 

今ならまだ間に合います!

 

 

歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣

歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣

 

 

 

 

社内政治は最もラクで得!誰でも組織を変えられるぞ!

THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)

THE TEAM ザ・チーム 5つの法則

麻野耕司 (著) 幻冬舎

 

 

「今さら『チーム』とか言われても、え~っ!、ってなりません?」

 

本書の出版記念トークイベントは、著者のそんな身も蓋もない話からスタートしました。

 

THE TEAM 麻野耕司 幻冬舎

(左:著者 右:箕輪厚介 )

 

ご存知カリスマ編集者の箕輪さんと本書の制作秘話や持論、世相などをざっくばらんに語っていました。

 

今回は「結果、本書『THE TEAM(ザ・チーム)』を興味深く読むことになる無軌道なトークショー」の内容をつまみながら感想を述べたいと思います。

 

編集箕輪の「著者に興味湧かない問題」

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箕輪「僕は本の編集を受け持つ時、知識とかノウハウとかじゃなくてその人の『人生』を書くかどうかという基準を持っているんですよ。だから麻野さんには正直興味なかったです」

 

著者「それはめっちゃそうだろうな(興味ないだろうな)と思ってた」

 

箕輪「だって麻野さんって、リンクアンドモチベーションっていう上場企業のコンサルの人っていうイメージで、面白くなさそうだなって」

 

著者「だからこの本書く時に編集を箕輪さんにって言ったら、偉い人から『一度会食の場を設けようか?』って言われて、それは絶対やめてくれってなった。だって、そうしてたら絶対興味なくすでしょ?」

 

箕輪「そりゃそうですよ!もちろんそういう仕事もやりますよ。まぁフルコミットすることはないですけど」

 

著者「そうなると思ったから、『強制じゃだめ、共感じゃなきゃ』となった」

 

箕輪「会長のセッティングなんてもってのほかですね」

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トークショーより)

 

箕輪さんは今日本で一番有名な編集者で、幻冬舎で働きながらオンラインサロンをやったり、その他の仕事もバンバン受けたりと、インフルエンサーとしての立ち位置を確立しています。

 

著書も10万部以上のヒットを飛ばし、カリスマ編集者と言って間違いない存在です。

 

死ぬこと以外かすり傷

死ぬこと以外かすり傷

 

 

つまり、「本を出すなら編集は箕輪」というのが今売れる本の方程式となっているわけです。

 

そこに着目した著者は、本書にも書かれている「意義目標」を持って箕輪さんを口説きました。

 

意義目標を適切に設定するのが良いチーム

 

本書では、目標に関して3種類あるとしています。

 

・行動目標……何をやる

・成果目標……いくら売る

・意義目標……何のためにやる

 

これらの目標が、そのチームにあった内容で設定されていることが良いチームとなる条件です。

 

今回、著者は箕輪さんを担当編集になってもらうために、この「意義目標」を熱く語り口説き落としたとのこと。

 

麻野さんが設定した本書の意義目標は

 

日本中のすべての人に、ひとりひとりの力を活かせる組織を、チームを、届ける。

そのために、組織を形づくるひとつひとつのチームの力を最大限引き出す。

(261ページ)

 

というものです。

 

この意義目標から、箕輪さんは「精神論ではなく、客観的で科学的なものでチームを捉えて法則化して、大学3年生がわかるレベルまで落とし込む」っていうのは面白いなと感じたそうです。

 

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箕輪「これまで自分も自然とチーム作りや運営をやってきたけど、意義目標とか無意識でやっていた。無意識でやっていたことを言語化されると再現性が増してすごく良くなる」

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トークショーより)

 

かくして、「チーム作りの法則化」と意義目標である「良いチームを日本に届ける」という熱い著者の思いが本書の面白さとなったわけです。

 

 

チームは、つまり社内政治

今回のトークショーの質疑応答で、こんな象徴的なやり取りがありました。

 

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(自分が必要がないと思っている資格を、上司に取れと命令されているがどうすればいいかという質問に対して)

 

箕輪「上司から嫌なことを命令されるとか、つまりは社内政治の問題でしょ」

 

著者「僕も会社で社内政治めっちゃ頑張ってるけど」

 

箕輪「社内政治は一番ラクで一番得でしょ!」

 

著者「その通り!」

 

箕輪「俯瞰で考えたら上司から嫌な命令されるのはどういう影響があるのか、そこをクリアしたら何が起こるのか、自分がしたいことにどうつながってくるのか、とか客観的に考えたら、社内政治で解決できることってめちゃくちゃ多いし、めちゃ楽だと思う」

 

著者「僕もそうやってプライドなんてはじめから持たずに偉い人に頭ガンガン下げて社内政治に励んで50億使わせてもらった。自分で事業やってたら50億なんて絶対引っ張ってこれない金額だけど、会社なら本気でやってちゃんと収益出すと思われたら可能になっちゃう」

 

箕輪「社内政治で得られるもの本当に多いわ~」

 

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トークショーより)

 

つまるところ、チームというのも社内政治のひとつだなと私は考えました。

 

政治と言っても、駆け引きや騙し合いではなく、

 

「相手の立場と自分の立場をどう認識し、何をしてあげて何をしてもらうのか」

 

ということです。

 

これらをある単位の人数で整えていくことがチーム作りといえるのかもしれません。

 

著名なプロサラリーマンであるお二人が「社内政治は最高!」といっているわけですから、チームのことを考えると同時に、社内政治にもリソースを割く必要がありそうです。

 

まとめ

トークショーの内容を中心に書いてしまいましたが、本書は内容がしっかりとした「チームの教科書」になっていることは間違いありません。

 

ですが、これをいかにして使うかは読んだ人次第だと思います。

 

ちなみに、ビジネスマンにとって(人にとって?)最強の武器は2つあると箕輪さんは語っていました。

 

1.相手を深く理解すること

2.自分の強みを磨くこと

 

著者は最強の編集者「箕輪厚介」とチームを組むために、箕輪さんの価値観を徹底的に調べ、「本を出して売りたい人」ではなく、チーム変革者「麻野耕司」として、真正面から接しました。

 

理路整然としていて、法則やメソッドを明確にしている本書にも、熱い血が流れていることを、肝に銘じておすすめさせていただきます。

 

 

THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)

THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)

 

 

 

 

彼女の声が聴こえる。それは即ちこの本の文章そのものだ。

キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語

キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語

小林さやか(著) マガジンハウス

 

 

まず最初に言っておきたいことは、

 

「すいません、マジなめてました。ごめんなさい」

 

ということです。

 

本書は「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」の、ビリギャルのモデルとなった方の著作です。

 

 

もう「ビリギャル」が発売されてから4年近く経っていることもあり、

「ブームが過ぎてからこの手の本をだしてもなぁ」

と、数時間前の私は本当にそう思っていたのです。

 

「ビリギャル」は素晴らしい本だとは思いますが、すでに大学受験の年齢を大きく大きく超えて、かつ子供がまた小さい私には「自分はこの本の対象ではないな」という疎外感に似た感覚がありました。

 

大学受験で頑張れなかった自分に拗ねていたわけです。

 

それでも「ビリギャル」を完読し、母親のああちゃんの著作も完読し、

 

ダメ親と呼ばれても学年ビリの3人の子を信じてどん底家族を再生させた母の話

ダメ親と呼ばれても学年ビリの3人の子を信じてどん底家族を再生させた母の話

 

 

 映画も1人で観に行ったこの屈折した私が、満を持して本書「キラッキラの君になるために」を読んで得た感想が、

 

「すいません、マジなめてました。ごめんなさい」

 

なのです。

 

 

ビリギャルはこの本のためにあった

 

本書の内容は、中盤までは大学受験までの話で、中盤以降はその後、大学入学以降の話です。

 

かいつまんで言ってしまえば、「大学受験は劇的だったけど、入学後も色々アップダウンがあったし、それからもずっと色々あったよ」という話です。

 

その「色々あった」中から得た経験をもとにして、極めて個人的な体験談をベースに本書は綴られています。

 

このタイプの本だと「要は作者の自慢話でしょ」とか「ただの自分語り」などと、読まずに判断してしまいがちな私ですが、本書は違います。

 

「著者が本当に思っていることを、本当に本気で書いた」に違いないと私は確信しています。

 

「私の人生を変えてくれた、恩師の話をします」。そう言って私は高校2年まで全然勉強しないで、大学なんて行くつもりなかったんだけど、この人に出会ってがんばれて、いまここに、いられるんんだということ。坪田先生は学校の先生とは違って、私の話をちゃんときいてくれた初めてのオトナだったこと。どんなときも私を信じて、支え続けてくれたこと。慶応に受かったとき、泣きじゃくって喜んでくれたこと。いろんな話を、泣きながら話した。もう、あたりを見渡すと、ほかの組はとっくに面接を終えていた。

(172ページより)

 

本書中盤で出てきたこの場面で、私は確かに著者の声を聴きました。

 

話しながら、自分が話す大好きな人の話に夢中になっていって、息を切らしながら、次々にエピソードが紡がれていくその声を。

 

そこからはずっと、彼女の話をうなずきながら聴いて、気がつけば読了していました。

 

著者は本書を執筆しながら何度も泣いたのでしょう。

 

色々なことを思い出しながら何度も何度も泣いたのでしょう。

 

きっとそうに違いないと確信させるほどに、本書は著者の声が震える様が、鼻をすする音が、身振り手振りが、聴こえてくるのです。

 

「ビリギャル」から始まった一連の著作は、ひょっとすると本書のためにあったのかもしれません。

 

そう思えるほどに、不思議な臨場感のある、そばに人を感じる文章でした。

 

 

まとめ

 

本書には、作者が体験談を語る他に、作者が考える「夢を叶えるための6つの法則」が出てきます。

 

ですが、それはほんの一部分で、その法則の出来自体で本書の価値が左右されるものではありません。

(ただの成功系の啓発本ではないということです)

 

「思いの強い人が、自分の思いを直球で文章に出し切る」ということの迫力が本書にはあります。

 

それが声が聴こえるという現象につながったのでしょう。

 

私の感覚では、大枠で著者と同じ感情タイプの人は全体の4分の1程度はいると考えています。

 

もちろん私もその1人です。

 

自分が好きな人の話を熱く語って周りをポカンとさせたことのある方、

自分が話す内容で自分が泣けてきたことがある方、

 

そんなあなたには間違いなくおすすめの一冊です。

 

最初は信じられないぐらいダサいと思ったのですが、看板に偽りなしと言わざるをえないでしょう。

 

「キラッキラの君になるために」本書はその助けになります。

 

 

 

そして、軽率な先入観を持って本書を読み始めたことに、

 

「すいません、マジなめてました。ごめんなさい」。

 

 

 

キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語

キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語

 

 

スピリチュアルは抽象度を天高く上げて野暮を抜けばわかる

そうだ 魔法使いになろう! : 望む豊かさを手に入れる

そうだ 魔法使いになろう! : 望む豊かさを手に入れる

吉本ばなな  大野百合子(著) 徳間書店

 

この本のゲラを読者の目線で読んでいたら、つい「この人たち、頭大丈夫?」と思ってしまうくらい、突き抜けた内容の対談でした(笑)。 

吉本ばなな 7ページ まえがき より)

 

このまえがきに偽りなし!

 

本書は全編通してガチのスピリチュアル対談であり、スピリチュアル界のガールズトークであり、スピリチュアル界の井戸端会議です。

 

つまり、スピリチュアル本の読み方を知らない読者には非常に難解である、もしくは「いっちゃってる人達」の本として読解は困難なものとなるでしょう。

 

しかしながら、本書ではスピリチュアルなことに対してオープンスタンスな読者以外は対象にしていません。

 

それは、著者たちが

 

「スピリチュアルについての説明や証明なんて、無駄なことはやらないよ。『こういうこと』ってわかる人が読んで楽しんでね」

 

と考えているからと私は感じました。

 

では逆に、スピリチュアルなことも積極的に理解していきたい理屈屋、つまり私の様な人間はどうしたら本書がきちんと読めるようになるのか、私なりに考えてみました。

 

たったひとつの冴えた読み方

 

本書は読めば読むほど突っ込みどころが満載です。

 

前世、幽霊、精霊、大天使、宇宙人などなど、これらの際どいキーワードが中年女性の間で全284ページに渡り当たり前のようにキャッチボールされているわけですから。

 

いちいち声を上げて突っ込んでいたらキリがありません。

 

「ならば諦めて一旦何も考えずに読んでみるか」

 

そう思い立って無心で読み進めていったのが、ヒントになりました。

 

心の中に沸き立つ「否定(突っ込み)」を無視すれば、自然と全てを受け容れるスタンスに立てるのです。

 

そして、その「全てを受け容れるスタンス」こそが本書のようなスピリチュアル本を読むための、最初に必要な心構えだと私は考えました。

 

本書では著者二人がスピリチュアルな会話をひたらすら続けますが、お互いの話を一切否定しません。

 

「全てを受け容れるスタンス」に立っているのです。

 

著者と同様のこのスタンスを得てはじめて、本書の内容を理解すること(感じること)ができるようになるのです。

 

スピリチュアルを高度な比喩として捉える

スピリチュアル否定派の方々に、あえてわかりやすく伝えるために、スピリチュアルは「高度な比喩」として一旦捉えてみることをおすすめします。

 

大野 人間が平均して転生する数は350回と言われていますが、ばななちゃんはそれよりたくさんの転生がありますね。

 ゲリー・ボーネルさんから、何か言われましたか?

吉本 「次はもう生まれてこない」と言われました。

(23ページより)

※ゲリー・ボーネルさんとは、人の前世が見えるすごい人

 

この二人のやり取りをツッコミを入れながら読むと、

 

「『平均して転生する数』ってどこで平均をとったんじゃい!」

「そもそも『転生する前提』かい!」

「おばちゃん同士で「ちゃん」付けかい!」

吉本ばななもサクッと『転生する前提』を受け容れるんかい!」

 

などなど、突っ込みが激しすぎて全然本文の内容が頭に入ってきません。

 

これは、一つ一つの文章を具体的に解釈して、自分の見方と違う点を言葉にしている状態だからです。

 

では、この『具体的な解釈』という行為自体が、本書の読み方として適していないとしたらどうでしょうか?

 

対局にある『抽象的な解釈』で臨んでみたら……。

 

「『転生する回数が350回』ってことは、『人が持っている時間や経験は計り知れない量』っていうことかな?」

「ばななちゃんは、ゲリー師匠から「次はもうない」って言われたんだ。ばななちゃんとゲリーさんの関係性から紡がれた言葉なんだろうな」

 

といった感じでしょうか?

 

この様な感じ方を薄ぼんやりと施しながら、自分が持っているよりも高度な抽象度で語られていることなんだと割り切って全て受け容れる。

 

これこそが本書の正しい読み方なのです(私的に)。

 

まとめ

本書はスピリチュアル本としては非常に読みやすいものになります。

 

それは、「吉本ばなな」という大作家が極めて自然体で発している言葉だからだと私は考えています。

 

著者の吉本ばななさんは前著『「違うこと」をしないこと』でもガッツリとスピリチュアルなことを語っています。

 

「違うこと」をしないこと

「違うこと」をしないこと

 

ブレないスタンス、自然体、そして大作家の有名性が相まって、本書は「高度に抽象化された人生論」としての「スピリチュアル入門書」となっているのだと私は感じました。

 

本書を読んで私が得たものは、

 

「白とか黒とか、善とか悪とか、賢いとかバカとか、正しいとか間違ってるとか、明暗とか損得とか、二元論を真に受けてその言葉の世界で生きているのは野暮ったい。この野暮さは溶かしていきたい」

 

という感覚です。

 

さあ、私のスピリチュアル歴が今スタートしましたよ。

 

 

そうだ 魔法使いになろう! : 望む豊かさを手に入れる

そうだ 魔法使いになろう! : 望む豊かさを手に入れる

 

 

 

 

行き着く先は「何がやりたいことなのかわからない問題」

働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる


働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる

橘玲 (たちばなあきら) 著 PHP研究所

 

著者の橘玲(たちばなあきら)氏の著作は、「幸福」に軸を置いてお金や仕事の話を綴ったものが多いという印象です。

 

私は著者のトークイベントに参加したこともありますが、著者の本分は「分析と考察」にあり、金儲けの実践や栄達とは距離を置いていると感じました。

 

それは本書も他の著作も同様で、一つのパターンを用いて表現されています。

 

それは

 

①証拠(エビデンス

②分析

③方法論

 

という構成です。

 

①ということは、②であるから、③をするのが最適

 

本書もそういった内容です。

 

要するに「働き方」はどうなるのか

 

本書の①証拠(エビデンス)にあたる部分では、端的に言うと

 

「日本の会社、サラリーマン、やばいぜ!」

 

という内容です。

 

特に、「正社員」とは身分制度であるという気づき(正社員は英訳がない)から、日本とはグローバルスタンダードから周回遅れの身分制度社会という現状を炙り出して行きます。

 

現役サラリーマンである私なぞはここまで読んで「うわ、やばい!」と胸のあたりが苦しくなってきます。

 

著者はスタイルとして、物事を悲観的もしくは楽観的に捉えたりしないように心がけているので、余計にリアリティがあり「うわ、やばい!」がどんどん積み上がっていくのです。

 

②の分析では、結論として働き方を6つの階層に分けています。

 

ざっくりで表現すると

 

1.資本家

2.クリエイター、スペシャリスト

3.管理職

4.マニュアルに沿った仕事をする人

5.単調な仕事をする人

6.日雇い、その日暮らし

 

という階層構造で、1から6の順で収入が下がっていきます。

 

そして、

 

あと10年もすれば、サラリーマンは確実に絶滅することになるのです。 

 

と結んでいます。

 

会社に属す、属さないという形態は残るにしても、「サラリーマン」「正社員」という身分制度は無くなるということです。

 

じゃあどうする?

 

著者の作品の特徴は最後の「③方法論」の部分が抽象的なのがいつももどかしいと私は感じています。

 

しかし、誰にでも該当する内容で書いてある以上、そうならざるを得ないのもわかってはいるのです。

 

著者が結論としているのは、

 

「好きなことで生きていくしかない」

 

ということです。

 

これからは「人生100年時代」に突入し、人は60年間働くことになります。

 

「やりたくないこと」が60年も続けられるはずがありません。

 

だから、なんとか自分の好きなことをマネタイズして、それで生きていくしかないのです。

 

長く働き続けないと生活苦が待っていることを本書ではガッチリと説明しています。

 

本書を最後まで読んでの私の感想は

 

「自分のやりたいこと……なんだろう?」

 

という困惑です。

 

この「何がやりたいことなのかわからない問題」は今、非常に重要な問題で、あらゆる本で語られています。

 

ちなみに、著者はそのことをテーマに「残酷すぎる成功法則」を共著 しています。

 

残酷すぎる成功法則  9割まちがえる「その常識」を科学する

残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する

 

 

 

今現在、正社員として働いている方々は、来るべきサラリーマン絶滅時代にどういった方向性で生きていくのか、それを考える良い機会として本書の一読をおすすめします。

 

 

まあ、私個人としては「なんとでもなる」「逆に良いかもしれない」などと思ってはいるんですけどね。

 

※本書の「ポジティブな選択をするとものすごく有利になる」という言葉を受けて

 

 

働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる

働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる

 

 

 

 

 

「仕事とは人に役立つ暇つぶし」いただきました。

労働2.0 やりたいことして、食べていく


労働2.0 やりたいことして、食べていく

中田敦彦(著) PHP研究所

 

このところ30代ぐらいの方が書いた新刊のビジネス書を読んでいて、共通しているキーワードがあります。

 

それは、

 

「やりたいこと」

 

です。

 

堀江貴文さんがずっとおっしゃっているように、

 

「やりたいことをやればいいじゃん」

 

という考え方が一般化しつつある昨今、

 

「何がやりたいのかわからない」

 

という人が顕在化してきたという実感が私にはあります。

 

そう、私もその1人です。

 

 

本書は「労働2.0」は、お笑い芸人コンビ「オリエンタルラジオ」の中田敦彦氏が自身のビジネスや考え方を綴っています。

 

その中で著者の根幹にあるのが、「仕事とは人に役立つ暇つぶし」という考え方です。

 

仕事とは、「人に役立つ暇つぶし」。そして暇をつぶすなら―――不満顔で働くより、リスクを恐れず楽しく働くほうがいいに決まっています。 

(45ページより)

 

これを前提として、 以下の3点を本書で著者は語っています。

 

・なぜやりたいことを仕事にした方が良いか

・やりがいがあって、かつ稼げることをしよう

・どうやってその仕事で勝つか

 

 

どの内容も非常にわかりやすく、響く文章でモチベーションを刺激されます。

 

そして、私は本書から「やりたいことの見つけ方」を見出すことができました。

 

空腹の状態で「自分の冷蔵庫」を覗け!

 

これは、やりたいことで勝つ方法、才能の見つけ方の内容なのですが、実は「やりたいことの見つけ方」と密接に関わっていると私は考えています。

 

「自分の冷蔵庫を覗く」とは、自分が「できること」「自分の特徴」を改めて意識することの例えです。

 

その組み合わせで自分の仕事に活かしてみよう

 

というのが本書の論なのですが、私はここに「やりたいこと」を見つけるヒントがあると感じました。

 

「やりたいこと」が本当に「やりたいこと」になるには、「できるかも」という可能性の思い込みが必要になります。

 

本書では、

 

利益になるかどうかはまだわからないけれど、こうしたらもっと利益が増えるかも、思えるような仕事―――ここに一番心惹かれることがわかりました。

(85ページ)

 

という、仕事を選別した時の考え方が象徴的だと思います。

 

本当に「全く出来ないこと」と自分の考えを動かせないようなことは「やりたいこと」には成りえません。

 

「できること」の掛け合わせや継ぎ足しから、手が届く可能性に潜在的に気がつくことができることが「やりたいこと」に成りえるのだと私は考えます。

 

その点から考えると、「自分の冷蔵庫をじっくり探索する」ことは「やりたいこと」を見つけるための近道と言えるのです。

 

まとめ

本書を読んで通説に感じたのは、

 

「俺も『やりたい』側の人間としてレベルアップしたいな」

 

ということです。

 

「魔王を倒すぞ!」と宣言して能力のあるメンバーを集める。

これが勇者の資質だと思います。

(205ページ)

 

その方法や考え方は本書に全て書かれています。

 

 

つまり、本書は「その気にさせる」、アジる系の良書ということです。

 

 

労働2.0 やりたいことして、食べていく

労働2.0 やりたいことして、食べていく

 

 

 

 

 

野球論から学ぶ大局観。野球好きビジネスマン必読!

セイバーメトリクスの落とし穴 (光文社新書)

セイバーメトリクスの落とし穴

お股ニキ(@omatacom) 光文社新書

 

MLBメジャーリーグ)には「クレイトン・エドワード・カーショウ」というとんでもなく優秀なピッチャーがいます。

 

もちろんカーショウについて本書でも大いに触れられていますが、著者は気がついているのでしょうか?

 

自分自身が、日本の野球評論界に突如現れたカーショウであるということに。

 

「データ」と「感性」と「文章力」の融合

まず、本書はお股ニキ(@omatacom)というTwitterアカウントが著者であり、その野球経験は中学の部活動まで(しかも途中で退部)ということをご承知頂きたいです。

 

私は敢えて、著者の記した野球理論の内容の賛否については触れないようにしようと思います。

 

それは、本書の素晴らしさが野球理論の部分以外に多分に含まれているからです。

 

その素晴らしさは3つあります。

 

・データ

 

・感性

 

・文章力です。

 

『データ』 圧巻のデータ収集能力

本書では、これまで野球を語る時に抽象的にしか表現されてこなかった部分が、より具体的に、より計測的に表現されています。

 

私がスラッターと感じているボールを物理的に表現すれば、概ね80マイル台後半のスピードでPITCHf/xだと左に0~5インチ、重力での落下と比べて0~5インチ上の変化量で、二次元の回転角度は135度前後のボールである。

(98ページより)

 

これはセイバーメトリクス統計学的野球戦略論)的解釈が充分可能となるデータ量を、著者が知見として蓄えているからこそなせる業なのです。

 

『感性』 一流の雰囲気漂うビジネス視点

本書では折に触れて、野球を2つのビジネス的見地から分析しています。

ひとつは球団運営を中心とした経営に関するビジネス。

そしてもうひとつは野球を「仕事」として見た時のビジネスです。

特に、仕事論として本書を読んだ時、その含蓄の深さはシビれるものがあります。

 

良い選手や数字を残せる選手の動きを観察・研究して共通点を導き出し、機能的にプレーを進化させていくアプローチは不可欠である。

(165ページ)

 

一般のビジネスの現場も然りですね。

 

『文章力』 読む側の負荷を常に配慮しつつ、圧巻の語り

本書は、342ページの中に筆者の野球理論がパンパンに詰め込まれている。

驚くべきは、それが数値的データを多分に含んだ専門的な内容であるにも関わらず、筆者の熱を感じながらグイグイと読み進められる点である。

 

ちなみに、ベースボール史上最高のチームのひとつに数えられる1998年のヤンキースも、50本も60本もホームランを打つ選手こそいなかったが、9番のスコット・ブロシャスですら打率.300、19本塁打、98打点を記録するほどで、3割15本~20本位をマークできるセンスがズラリと並んでいた。

(224ページ)

 

こういった長めで熱量もある文章でも、すんなり読める並びでサラッと書けている感じが筆者の持つ文章力の特徴と、私は考えています。

 

まとめ 『大局観』を学ぶべし

本書を読んで、今後MLBメジャーリーグ)もNPB(日本プロ野球)も、これまでよりも大いに興味深く楽しめるのは間違いないと私は確信しています。

 

ですが、本書からは野球というプロスポーツの分析と理論展開を通して、0か100かの二元論から脱し、中長期の成長計画が導き出せるバランス感覚、すなわち「大局観」を身に着けたいと感じました。

 

とにかくこの20年間の日本は「大局観」を失い、トータルで勝つことを放棄して、投資や拡大とは真逆の発想で運営されて沈んでいったと言える。

(324ページ)

 

著者にアドバイスを求めたというダルビッシュ投手は、そんな「大局観」を著者から感じていたのかもしれません。

 

誰にでもおすすめですが、少なくとも野球好きのビジネスマンは必読の一冊です。

 

 

セイバーメトリクスの落とし穴 (光文社新書)

セイバーメトリクスの落とし穴 (光文社新書)

 

 

 

【追記】

野球をプレイするのが好きな方は、トクサンの著書がおすすめです。

併せて読んでみてください。

 

bundokisan.hatenablog.jp

 

 

 

お金との付き合い方の原理原則を措定しよう!

これからを生きるための無敵の―お金の話

 

これからを生きるための無敵のお金の話

ひろゆき西村博之)著 興陽館

 

この本の命題は

 どうしたら幸せになれるのか?

どうしたら不安から解放されるのか?

そのために、お金とどう付き合っていけばいいのか?

 

の3点です。

 

そして、この3点に関しては私の知る限り、著者の主張は過去からずっと一貫しています。

 

・どうしたら幸せになれるのか?

 

 お金をたくさん持ったとしても人は幸せにはならない。

 不安を減らすこととやりたいことをやることが重要。

 

・どうしたら不安から解放されるのか?

 

 人と自分を比較しない。

 生活保護ベーシックインカムなどで最低限のお金を確保する。

 

・そのためにお金とどう付き合っていけばいいのか?

 

 生活レベルを上げない。

 自分の教育やスキルアップにお金を使う

 

 

これらの、著者の考えを今に沿って語っているのが本書です。

 

お金の付き合い方の原理原則

 

本書を読んで私は自分のお金との付き合い方の原理原則を、とりあえず「これが正しい」と仮定してみたいと思いました。

 

1.ランニングコストを下げる

  毎月支払っているものの内容を見直し、ランニングコストを下げる。

  数百円をダラダラ支払っているものはスパッと契約を切るなど。

  無駄使いはしない。無駄使いの基準を決める。

 

2.時間は楽しみか自分への投資に使う

  楽しみ……読書、コンテンツ鑑賞、キャンプ、たまの飲み会

  投資……読書、サイト運営、仕事(部門を選ぶ)、ライティング、スキル習得

 

ざっくりこんなところでしょうか。

 

まとめ

著者ひろゆき氏の本は、ただ読むだけだと雑談を聞いているのと変わらないので、何か一つは行動に直結させたいと私は考えています。

 

著者は私にとって「非常に優秀な考える装置」と位置付けており、特に本になった内容とその考えに至った方向性は自分では見いだせないもののことが多いのです。

 

最終的にはお金に頼らないで幸せに生きていくことを目的に、自分で決めた原理原則を守っていこうと思います。

 

 

これからを生きるための無敵の―お金の話

これからを生きるための無敵の―お金の話

 

 

公立の学校は人生で最も難易度が高い酷なステージ

学校ハラスメント 暴力・セクハラ・部活動ーなぜ教育は「行き過ぎる」か (朝日新書)

学校ハラスメント 内田良(著) 朝日新書

教育とはその営為の形式からして、ハラスメントとしての性格を内包している。 

(6ページより)

 

本書を読み終えて、語りたいことは山程ありますが、その前にこの記事で用いる『ハラスメント』という言葉の定義を確認しておきます。

 

ハラスメント……人を困らせること。いやがらせ。

 

つまり、ハラスメントとは主体客体問わず、人を困らせることやいやがらせのことを意味します。

 

本書『学校ハラスメント』では、学校にまつわるハラスメント =「人を困らせること、いやがらせ」に関して総体的に取り上げています。

 

保護者として読む本書の意味

私は1人の親という立場で本書を読みました。

 

なぜなら、我が子の教育は最善であってほしいし、いじめに遭ったり遭わせたり、学力が低くなってしまったりをして欲しくないから。

 

そうして危機回避の念で本書を手に取りました。

 

そして、至った結論は以下です。

 

「子供を公立の学校には進学させまい」

 

 

視座・抽象度が合わない問題

本書は、学校で起こるハラスメントを主に生徒、教師、保護者、その他関係者の中で相互に起こる問題と捉えています。

 

一面的に教師が悪い、生徒が悪い、学校が悪いなどとは捉えていません。

 

そもそも、一事案一事案に対して是非を問うのではなく、その背景やそこに至る仕組みを問題視しているのです。

 

本書は例として特に具体的に取り上げている事案が2つあります。

 

組体操と甲子園です。

 

組体操でも甲子園でも、「感動」を第一のベネフィットとして、健康や安全や冷静な視座を軽んじていることが問題とされています。

 

そもそも、なぜこれらが問題となり得るのか、その源泉が本書には記されていなかったので私なりに考察してみました。

 

「教育」そのものの矛盾

 

本書を通じて何度も考えさせられましたが、「教育」という言葉はあらゆる事象をわかりにくくします。

 

それは「教育」という言葉自体が持つ意味が、私達の目的と合致していないからだと私は考えています。

 

まず、「教育」という言葉の矛盾について考えたいと思います。

 

教育とは、「教えて育む」ということですが、この主語は教える側となります。

 

以下の対談でわかりやすく説明されているので是非ご一読ください。

brave-answer.jp

 

つまり、「教育」とは教える側が主役の言葉であり、私達が目的としている「子供が学ぶ」とは合致していないのです。

 

上記の対談でも記されている通り、親は決して子供に「教育されなさい」と思って学校に行かせてはいません。

 

「学んできなさい」と思っています。

 

教育とは教える側が生徒を「教え育むこと」であり、私達が教育に望んでいることは「子供が学ぶこと」です。

 

この2つの項目は主語の違い、意味の違いから多くのダブルバインド(二重拘束)を起こしていると考えられます。

 

ダブルバインドを起こしている場合、思考停止や強い精神的ストレスを生み出します。

 

これは私の推論ですが、過去、日本は本当に学校の目的は「教育」であった時代があったのではないかと思います。

 

具体的には戦後の混乱期、教える側が主役となり「人としての基礎」のようなものを学校で生徒に育ませなければならない事態が存在していたのではないでしょうか?

 

その文脈から捉えると、現在必要とされているのは「教育」ではなく「学育」(正確な単語ではありません)となります。

 

 

 

と、いった具合に、「教育」そのものの有り様をより深く探り、より理解し、方向性を見直すという視座を持つということが教育界には可能なのでしょうか?

 

 

一部の私立は別のステージ

実は、既に一部の私立の学校はそんな問題から抜け出し、「生徒が学ぶことを育む」ことを目的とした運営がなされていて、仕組みとして問題が無くなる方向性を持っています。

 

www.chu-shigaku.com

 

同じ学校運営で、なぜこのような差が生まれるのか?

 

それは学校運営者と保護者の視座と抽象度の高さの差に起因すると私は考えています。

 

 

『なぜ学校があるのか?なぜ生徒に学ぶことが必要なのか?なぜ私達は子供に学んでほしいのか?』

 

 

こういったことを自分自身に問い、答えを見出していく視座と抽象度の高さが、

 

「学校を教育の場 = 教える側のステージ」

 

と考えている(もしくはそう受け容れてしまっている)学校運営者や保護者と大きな差を生み出していると私は考えています。

 

残酷な話ですが、高い視座と抽象度を獲得している側は、それらが低い側にものを伝えるのが非常に難儀であることを知っているので、基本的には考え方を共有しようとは思えません。

 

(抽象度とは?という方におすすめの本)

 

具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ

具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ

  • 作者: 細谷功
  • 出版社/メーカー: dZERO
  • 発売日: 2014/11/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 抽象度を上げて「学校ハラスメント」を捉えた時、その原因は運営者と保護者の考え方の差であり、持てる資金の差であり、力の差であると見えてきます。

 

つまり、学校は「教育の場」という特別なものではなく、「社会の一部」なのです。

 

企業や国やその他の組織と同じ原則が適応されていて、それに気づけるか、仮にそうだとしたら、という視座で考えて行動できる組織となれるかが問題なのです。

 

これらはあくまで個人の私見ですが、本書に登場する問題ほとんどが、一部の私立の学校ではクリアされていることに目を向ける必要があります。

 

 

まとめ

本書を読み、学校は社会の中でも非常に難易度が高いステージだと、私は改めて考えさせられました。

 

それは立場も背景も違う人間同士が濃密に絡む場であるからです。

 

そういった場が得意な人間にとっては天国かもしれませんが、他の場を見出すことができない苦手な側にとっては地獄です。

 

現状、公立の学校はダブルバインドと濃密な人間関係に強い人達が輝くための場所です。

 

だから「教育」でものを語ることができるのだと思います。

 

悪い言い方をすると、学校とは「声が大き厄介者が跋扈する場」です。

 

 

そんな難易度の中で自分の尊厳を失わずに矛盾に直面している全ての教師、生徒、保護者、運営者の方にはなんと言葉を掛けたら良いのでしょうか?

 

漫画『3月のライオン』(著:羽海野チカ)では、 学年主任の先生がこう呟きます。

 

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「『教育』か……
 『教育』とはうまい事言ったもんだよ…
 ――『教える』に『育てる』か…
 『育』の字が無けりゃ とっくに放り出してるぜ こんな事…」

3月のライオン』(著:羽海野チカ) / 国分先生(学年主任)

 

 

当事者の多数である、生徒達にも絶対読んでほしい、本書はそんな一冊です。

 

 

 

ひろゆきよ、未来予測は君に任せた!!

このままだと、日本に未来はないよね。

このままだと、日本に未来はないよね。

ひろゆき西村博之)著 (洋泉社

 

「え~!日本に未来ないとか困るんですけど~!」

 

そう感じたあなたにぴったり、読んでおいて間違いない一冊が本書です。

 

著者のひろゆき氏と言えば「2ちゃんねる」や「ニコニコ動画」などのネット上のサービスで有名ですが、テレビなどに出演した際の発言の強さや嘘のなさが人気で、私も大好きな方です。

 

「テレビは拘束時間が長いし、時間どおりにスタジオに行かなきゃならないから嫌」

 

「論理的にはわかりきったことを間違え続けるってことはバカってことですよね」

 

「それはあなたの思い込みであって、事実のように話すのはやめてもらって良いですか」

 

などなど、キャラクター作りとして言葉が強くなる有名人とは違い、本当に思っていることをはっきりと発言する論客として際立っています。

 

そんな著者が本書で未来予測と幸福論を綴っています。

 

ひとゆき氏自身が論理的、かつ客観的に語る未来予測は説得力もあり、ハッとさせられる内容が多数あります。

 

極端な悲観主義や楽観主義に振れることなく、「今はこういう状態で、これからはこうなるでしょう」という淡々とした見解ですが、「よくこんな考えに至ったなぁ」と私は何度も思わされました。

 

働き方改革の最適解は「人間を雇わない」

日本は先進国としては労働生産性が非常に低く、それを打開して「労働生産性を上げよう!」として昨今叫ばれているのが「働き方改革」です。

 

ちなみに労働生産性とは、

 

生産性 = 利益 ÷ 総労働時間

 

のことです。

 

※他にも計測の仕方は多数あります

 

つまり、生産性を上げるには、

 

①利益を増やすか

②労働時間を減らすか

 

という2点をいかにして成すかが課題となります。

 

そこで最近日本政府が力を入れているのが②の方です。

 

2019年4月1日から、働き方改革法案が成立し、すべての会社で、年間の有給休暇消化日数が5日未満の従業員については、会社が有給休暇を取得するべき日を指定することが義務付けられました。

 

要するに今は中小企業で有給休暇を取れていない状態だから、それをせめて年5日だけでも取らせて労働時間を減らしたい。

 

それによって生産性を上げたい、というのが政府の狙いです。

 

 

著者はこの「働き方改革」が目指している生産性の向上の最適解として、

 

「人間を雇わない」

 

という説を提唱しています。

 

要約すると、

 

人件費が高い日本のような国では、今現在人間が行っている作業を機械化すれば労働時間が減るので生産性が上がる

 

ということです。

 

実例としてフランスのマクドナルドなど、注文はタッチパネルで行い受付カウンターは基本的に無いことを挙げています。

 

マクドナルド 無人化

(日本のマクドナルドでも無人化が進んでいます)

 

著者の言う「人を雇わない」とは、「機械化と無人化」のことであり、確かに生産性を上げる方向性として理にか適っています。

 

「でも人間が接客しないと温かみのあるコミュニケーションがない!」

「機械化なんて冷徹!ひろゆきには人間の心がないのか!」

 

的な反論も、一昔前はよく聞かれましたが、今となってはだいぶ減っているのではないでしょうか?

 

それもそのはず、人間の進歩は機械化、自動化、無人化の連続であり、便利さの代名詞と言えるスートフォンもその最たるものであるからです。

 

著者は、このような未来予測のコツとして、

 

①経済合理性に適ったものは必ず普及する

 

②ヒット予測はまず「普及しない理由」を考える

 

の2点を挙げています。

 

 

働き方改革の最適解」に関しても、この①と②が両方とも当てはまります。

 

 

①経済合理性

機械化、無人化により雇う人の数を減らして生産性を上げる

 

②普及しない理由

コスト問題……将来的な人件費が減らせる、つまりランニングコスト減で解決可能

感情的な問題……「人の温かみがないとダメ」「機械的なミスが起こる」「人が働く場所が奪われる」など。功利主義で超えられる程度のハードルなので便利さで解決可能。

 

 

ひろゆき的幸福論

本書で前中盤までに、著者流の未来予測と社会問題の解決方法の提案が語られています。

そして、後半ではそんな世の中でどう生きればよいのかが書かれているのですが、その中も特に私が注目したのが著者の幸福に対する考え方です。

 

他人とズレていた方が幸せになれる

(210ページより)

 

ビジネスでも人生でも、皆が良いと思うものは競争率が高くなり、幸せになれる可能性が低くなるというのが著者の主張です。

 

皆が良いと思うもの ≒ 役に立つもの は競争率が高く、利益率が低くなります。

 

「人の役に立つことをしなさい」という旧来の価値観は、本質的には、道徳的には正しいんですが、そうした仕事を選ぶと給料がが低くなるんです。 

(212ページより)

 

本書では、人の役に立つ航空会社よりも、人の役に立たないFacebookのほうが利益率が高い、つまり人の役にたたないことのほうが利益率が高い傾向にあると論じています。

 

そして、一見すると人の役に立たない、競争相手が少なくて誰が買うかもわからない、そんな市場のほうがおいしいのではないかと。

 

筆者のこの考えは、

 

仕事をして儲けようとか思わないほうがラクだと思います。 

 

という筆者の価値観、未来の幸福論からきているようです。

 

 

まとめ

 

これは筆者が個性として持っている考え方で、全員に当てはまるものではないと思うものがあります。

 

それは、

 

ラクな方が良い

 

という価値観です。

 

私は著者と同様「ラクな方が良い」派の考え方なのですが、ビジネスの現場ではそうでない考え方の方もたくさんいると感じています。

 

ラクな方が良い」以外の価値観では、「勝つことが良い」という価値観が多数派なのだと私は考えていますが、本書では

 

そもそも幸せは、相対的ではなく絶対的なもので、収入や職業で決まりません。 

 (217ページ)

 

と筆者は論じています。

 

これこそが、成長が止まり、衰退を初めた日本で生活する我々が、真っ先に理解しておくべき価値観ではないでしょうか?

 

 

本書を一言でまとめるならば、

 

日本の未来はこれまでの感覚で考えると良くはならない。

だけど、個人の幸せは「競争すること」を手放せば充分得られるよ。

 

ということだと私は考えています。

 

本書の内容で、未来予測や問題解決の詳細は、ビジネスに繋がるヒントも満載なので、ビジネスマンは是非読むことをおすすめします。

 

ですが、これから自分の生き方、成長の仕方を模索している10代20代の男女にこそ読んでもらいたい内容。

 

ぜひ一読を。

 

 

このままだと、日本に未来はないよね。

このままだと、日本に未来はないよね。

 

 

全人類は、誰もがみんな「俺か、俺以外か。」

俺か、俺以外か。 ローランドという生き方

俺か、俺以外か。 ローランドという生き方

ROLAND (著) KADOKAWA

 

まず、本書のスタイルとして理解していただきたいのが、著者のROLAND(ローランド)は、現代ホスト界の生ける伝説であり、類まれに美しい容姿とマインドを持った人物であるということです。

 

最近ではよくTVにも取り上げられ、その強い自我と精神性から女性だけでなく男性からも広く支持されています。

 

と、なぜ著者の紹介を差し込んだかというと、恐縮ながら私は著者ROLANDを知らなかったからです。

 

タイトルの「俺か、俺以外か。」という力強い二元論に惹かれて本書を手に取り、それからネットで著者のことを知りました。

 

これは著者の認知度が低いということではなく、急激に、かなり強い力で、それも尖った形で認知が進んでいるということだと私は考えています。

 

とにもかくにも、「俺か、俺以外か。」というタイトルとモノクロでクールな表紙が魅力的だったのです。

 

「俺か、俺以外か」の解釈

 

「世の中には二種類の男しかいない。俺か、俺以外か」

(42ページより)

 

著者は幼少より、自分は特別な人間であり、自分として生きていくこと以外は嫌で、クラス分けなどでどこかに属することも抵抗があったそうです。

 

そして大人になってから、大事を成すにはある程度エゴイスティックである必要があり、かつ自分は特別だと信じる必要があると気づいたと綴っています。

 

私はこの著者の考えを読み、これは「自我境界の確立」の話なのではないかなと考えました。

 

「自我境界の確立」とは要するに、「私は私、人は人」ということです。

 

当たり前の事のように聞こえますが、私達は多くの場合、教育の過程などで何らかの競争に当てはめられ、自然と他者と自分を比較する思考の習慣を身に着けてしまいます。

 

しかし、人生は個々人によって固有のものであり、誰一人として同じということはありません。

 

若気の至りに感じる方もいるかもしれない著者の主張ですが、「自我境界の確立」を幼少より成し、人生を自分個人のものだと確信しているから、言葉に強さが感じられました。

 

自分に自分に嘘をつかないということ

 

「たくさんの嘘をついてきたけれど、自分に嘘をついたことはないね。一度も」

(66ページより)

 

著者ROLAND(ローランド)の言葉の強さの源泉を感じされる部分です。

 

私は言葉の強さとは、言葉の巧みさや話し方や伝え方ではなく、その考え方がどの程度育っているかに比例すると、これまでの人生で学習し体感してきました。

 

www.bundokirev.com

 

そして、成熟した考え方ほど自分自身に一番強く伝わり、それが理由で相手に強く伝わるのです。

 

その状態では自分に嘘をつくなどということは決してなく、自分自身に関して嘘をつかないというポイントに置いて、著者は信用を得ていると私は感じました。

 

 

「多数派が正しいという思考は危険」という考え方

 

「100人が100人ダメと言っても、その100人が全員間違えているかもしれないじゃないか」 

(54ページより)

 

著者が確信している「俺か、俺以外か」という考え方と非常に合致している言葉です。

 

また、本書では筆者が多数派か少数派かという比較で多数派を疑っているのではなく、「自分以外の全員が自分と違う意見でも、自分を信じる 」という価値観を強く持っているということが語られています。

 

私自身、この言葉の意味を考えさせられる局面を多々経験してきました。

 

ビジネスの現場では往々にして多数派が間違った選択をします。

 

それは、個人個人がその選択の責任を回避しようとした結果なのですが、皆で並んで屠殺場に向かうことが現実に起こっているのです。

 

本書を通じて、「自分がどう考えているのか」を強く意識しながら決断することの重要性を感じさせられました。

 

まとめ

著者 ROLAND(ローランド)の言う「俺か、俺以外か」の真意は、自我境界の確立を成熟させているのであり、他者の意見を聴かないということでは全くありません。

 

本書224ページn「ローランド氏をより深く知るためのQ&A」にはこうあります。

 

Q16  一番影響を受けた本は?

『人を動かす』(デール・カーネギー著)。人を扱う仕事をするうえで、学ぶべきことがたくさんあった。

 

この質問に対し、

 

「俺は誰からも学ばない。なぜなら誰かが俺から学ぶために俺がいるんだ」

 

という答えではないのです。

 

自己の価値観や意見を育て、自我境界を確立し、さらに人生の新しいステージに立ち向かう著者が言う

 

「俺か、俺以外か。」

 

は、軽く聞いて良い言葉ではないと私は感じました。

 

 

そして、私も心の中で同じようにつぶやくのです。

本書を読んだ皆が、きっとそうするように。

 

 

 

俺か、

俺以外か。

 

 

 

俺か、俺以外か。 ローランドという生き方

俺か、俺以外か。 ローランドという生き方

 

 

 

あなたは一日で何回冷蔵庫を開くか?自分を褒めたいお弁当作り

?小分け冷凍おかず″を詰めるだけ! ゆーママの毎朝ラクする冷凍作りおきのお弁当 (扶桑社ムック)

お弁当作りは実戦の毎日

「毎日毎日、ご飯のことばかり考えていて嫌になる!」

 

私の妻の心の叫びです(汗)

 

 

全国のママさんは、早ければお子さんが3歳ぐらいから、家事としての「お弁当作り」に参戦します。

 

妻曰く、「お弁当作りはボディーブロー」とのことで、日々の試行錯誤や積み重ねができているか否かで、その出来栄えはジワジワ変わってくるとのこと。

 

そこで手に取ったのが「冷凍作りおき」で有名な「ゆーママ」こと、料理研究家の松本有美先生の新刊「小分け冷凍おかず″を詰めるだけ! ゆーママの毎朝ラクする冷凍作りおきのお弁当 (扶桑社ムック)」です。

 

献立地獄

私の妻がご飯のことで「嫌になる!」と言っていたのは下記の3点。

 

1.何を作るか

2.いくらで作るか

3.どうやって作るか

 

それぞれを簡単に説明してみたいと思います。

 

1.何を作るか

献立を決める段階です。

なるべくスーパーに買い物に行く前に決めていますが、現場のフィーリングで判断することもしばしば。

 

2.いくらで作るか

一家のお財布を預かる妻にとって、非常に重要なポイントです。

「主婦は食材の価格が瞬時で比較できるスカウターの能力が自然と身につく」

と言う通り、特売の商品がどの程度安いのかなどを正確に判断できるようになっています。

その能力を駆使して、日々の食費を家計から逆算して割り出しているとのこと。

 

3.どうやって作るか

一品一品のレシピ、一から作る調理法のことではありません。

どの程度出来合いの惣菜や、冷凍食品、レトルト食品などを織り交ぜていくかということです。

これが上達することが料理上手のママになる方法だと妻は断言しています。

 

三方良しのゆーママ戦略

何を作るか、

いくらで作るか、

どうやって作るか、

この3つのポイントから考えると、本書の手法は非常に有効です。

 

それぞれの課題に焦点を当てて解説していきます。

 

何を作るかは本書レシピ参照

本書のレシピは334種類と、非常に豊富です。

色々アレンジすることもできますし、本書レシピを献立の基本とすることで「ご飯の悩み」の半分は解決できるかもしれません。

 

家計にもやさしい本書。でも相場感は忘れないで

本書のレシピは特殊な食材や調味料は使われていません。

なので、比較的リーズナブルに食材を揃えることができます。

ですが、生鮮食品などは価格が乱高下することがあります。

特売の旬の野菜など、おいしくて安いものをチョイスしましょう。

 

どうやって作るかはその日次第

私の妻はこの「どうやって作るか」を一番柔軟に考えています。

本書の活用の仕方と密接にリンクしているのです。

まずは「何を作るか、予算はいくらぐらいか」を決められれば、あとはその日の気分や体調、予定次第で「どうやって作るか」を決めるとのこと。

 

例えば、夕方に子供の習い事のお迎えがある時には出来合いを多めにしたり、時間に余裕があるときはハンバーグをこねたり、のんびりしたい時にはパスタにしたりしています。

 

そして、それらは「夕食」「お弁当」をセットで計算して、はじめて成果が上がる戦略なのです。

 

あなたは一日に冷蔵庫を何回開けているか?

この問いは、調理の回数と効率、作業動線を見直すということが真意になります。

本書の「小分け冷凍おかずを詰めるだけ」を実践すると、飛躍的に料理の作業導線が効率的になります。

 

本書レシピと冷凍おかずのテクニックで、火を使う調理の回数を減らすことができます。

同時に、冷蔵庫を開ける回数も、お皿を出す回数も、引き出しを開ける回数も、洗い物の回数も、キッチンを歩き回る距離も、それらに掛かる時間も、全て減らすことができます。

 

まとめ

本書を読みながら、私は妻からはじめて「家事としての料理」に関してじっくり話を聴かせてもらいました。

 

妻にとって、料理は毎日私と子供に提供する一番重要な仕事で、研鑽を続けているとのこと。

 

妻が本書レシピを参考にして、夕食とお弁当を作った際には

「買い物から調理からお弁当作りまで、自分を褒めてあげたい出来」

自画自賛をしておりました。

 

私は妻の料理には日々感謝していましたが、本書を通してその奥深さや研究ポイントを、浅学ながら垣間見ることができました。

 

ママさんはもちろん、男性も一読の価値ありの一冊です。

 

 

 

嘘は感情ではなくて、環境によって「つかされる」

新世界

新世界  西野亮廣 著 (KADOKAWA

私の尊敬する人が、著者が主宰のオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」に参加していると聞き、本書を手に取りました。

 

著者の西野亮廣といえば、「キングコング」として非常に有名なお笑い芸人さんですが、最近では絵本「えんとつ町のプペル」や、ビジネス書「革命のファンファーレ 現代のお金と広告 (幻冬舎単行本)」でベストセラーを連発している気鋭の作家でもあります。

 

本書「新世界」には、著者の考えてきたこととやってきたこと、今考えていることとやっていることを、方法論の説明も交えて書いてあります。

 

具体的にも抽象的にも、人間「西野亮廣(にしのあきひろ)」が全編で語られています。

 

言葉が意見を伝える道具ならば、まず、意見を育てる必要があるのではないか?

「言葉にできる」は武器になる。  (梅田悟司 著 ) より 

 

この文の示す通り、意見が育った言葉は心に刺ささる。

 

それを実感できた一冊になりました。

 

「新世界」の内容

本書は三章構成になっています。

 

第一章 貯信時代

第二章 オンラインサロン

第三章 新世界

 

オンラインサロン、クラウドファンディング、レターポットなどなど、「今」のキーワードを著者の解釈で大いに語られている本書。

 

ここでは敢えて、前著「革命のファンファーレ」でも語られていた大テーマを取り上げて思います。

 

『嘘は感情ではなくて、環境に「つかされる」んだ。』

 

第一章「貯信時代」で語られているのは、信用の重要性と信用を得る方法。

 

信用を得るには「嘘をつかないこと」著者は断言しています。

 

仕事や立場などで、自然と嘘をつくことを求められる。

 

CMやレポーターなど、お約束の振る舞いをすることは、つまるところ嘘をついているということです。

 

この方向性で露出が増えていくと、信用度を落としつつ認知を増やしていくので、そのギャップがそのままリスクになります。

 

不倫報道で手痛いダメージを受けたベッキーなどが好例でしょう。

 

嘘をつかないことが信用を稼ぐ一番の方法。

 

だけど嘘をつかないことは難しい。

 

それは、『嘘は感情ではなくて、環境に「つかされる」から。

 

だから嘘をつかなくて良い環境に自分を置くことが一番良く、嘘をつかなくても良い環境でも生きていけることが必要になるのです。

 

嘘と私の毎日

 

毎日、というか物心ついてからこれまでの間、私は心の中のどこかにずっとしこりを感じてきました。

 

それは時に大きく、固く、痛くもありますが、時には腫れも疼きも無いことも。

 

でも確実に存在していて、私はそれを本当の意味で忘れたことはありません。

 

これまで生きてきたその各ステージで、私は恒常的な嘘をついてきました。

 

その嘘が心を窮屈にして意見の成長を阻害し、言葉や振る舞いの力を奪い、他者からの信用を稼ぐことができないのです。

 

その嘘の一つ一つは、ちょっとした見栄や小さな誤魔化しであっても、それらを守るために雪だるま式に嘘が増えていきます。

 

小さい頃からずっとそうでした。

 

気がつけば呼吸するように嘘をついていたことも。

 

大人になった今でもそうです。

 

嫌な気持ちがする時の本質はいつも同じ。

 

仕事が嫌なんじゃない。

 

会社が嫌なんじゃない。

 

上司や部下の顔色を伺うこと、

 

仕事ができるフリや、真剣に打ち込んでいるフリをすること、

 

隙きを見てサボっていること、

 

有給休暇をとらせない同調圧力

 

桁外れな役員報酬に面と向かって意義を唱えられないこと、

 

つまり、嘘をつくことが嫌で、それは嘘をつかれている人も同様で、その嘘を一番多く聞いているのが自分で……。

 

嘘は時に魔法のように事態を良く見せることができるのかもしれませんが、その瞬間をそう見せかけているだけです。

 

気がつけば「私は嘘をつかざるを得ない環境」と同化してしまっているのかもしれません。

 

家庭があるから。

 

守るものがあるから。

 

もうそんな言い訳もほどほどにして、方向性を変えようと本書を読んで思いました。

 

「嘘をつかない」ということは、人生の目的や人生の意味を見つける方法に他ならないと見つけたり。

 

文章礼賛

 

本書は内容も素晴らしいと感じましたが、はっきり言って文章も最高です。

 

もの凄く読ませる文章です。

 

口語体を巧みに使っていて、まさに「声が聴こえるような文体」となっています。

 

その声質は抜けが良くて、時に興奮気味に上ずっていて、低域の振動の粒が揃ったキングコング西野の声に他なりません。

 

まさに著者の話芸がそのまま文章になっていると感じました。

 

ビジネス書を読んでいるつもりが、気づいたら二人で話をしているような気持ちになる独特の文体で、著者と自分自身の感情と心情を見失うことなく、最後まで一気に読むことができました。

 

1ページあたり1列30文字16行の構成も、一文ごとの改行も、空行の多用も、全て著者の話芸を表現するのに一役買っています。

 

 

言っても仕方のないことですが、世の中のあらゆる方法論や、勉強するべきことが全部この文体で書かれていれば素晴らしいのに……。

 

まとめ

本書に私が痛く感銘を受けたということは、ここまでお読みいただいた方には十分伝わったと思います。

 

しかし、引っかかった部分もありました。

 

それは、「セックスをするのでホテル代がかかる」「性欲が強い」「『評価経済社会』は出ても岡田斗司夫の名は出ない」という部分ですが、取るに足らないことです。

 

今読んで、自分も「今」というステージに参加したいと感じられた一冊です。

 

オンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」では、最新作の絵本「チックタック 約束の時計台」のプロジェクトを全力で進めているようです。

 

チックタック 約束の時計台

チックタック 約束の時計台

 

 

微力ながら私もこちらを予約して、本書「新世界」へのお礼としたいと思います。

 

読み次第、最速でレビュー書くぞ!

 

 

新世界

新世界

 

 

 

言葉が意見を伝える道具ならば、まず意見を育てる必要がある!

「言葉にできる」は武器になる。

「言葉にできる」は武器になる。 梅田悟司 著 (日本経済新聞出版社

 

言葉が意見を伝える道具ならば、まず意見を育てる必要がある。 

 

書店でベストセラー本をパラパラと流し読みしていると、本書のその言葉が私の脳に飛び込んできました。

 

私は会社でも家庭でも友人といても、たいてい口数は多いほうです。

 

それは頭の中に絶えず「思考」が流れていて、それを口に出しているから。

 

しかし最近、いつも言葉だけが空回りして、自分が本当に伝えたいことが伝えられていない、そもそも自分の考えがかっちり固まっていないということに気がつきました。

 

だから、自身の考えや自分の言葉を自分で信じきれているなと感じる人の話を聞くと、圧倒されて何か自分がひどくちっぽけな存在に感じることもしばしばありました。

 

これまで私は、新しく仕入れた知識や自分の考えの上澄みの言葉だけで、その場を何とか取り繕ってきたに過ぎなかったのです。

 

だから、自分の考えを文章にして伝えようとするとピタッと手が止まる。

考えが固まっていないだけでなく、自分の考えに自信が無いからです。

今書こうとしていることが、本当に自分がそう考えていることなのか自信が無いからです。

 

本書『「言葉にできる」は武器になる。」を手に取ったのは、そんな浅慮な自分を、少しでも成熟した考えを持てる人間に成長させてくれるのではないかと考えたからです。

 

先に結論を言ってしまうと、本書は

 

「自分の考えを伝えるのに苦労しない」

「文章はいつでもスラスラ思ったとおりに書ける」

 

という人、以外の全員におすすめできます。

 

それは本書が「考え方」を伝えるだけではなく、具体的なメソッドを示してくれているからです。

 

意見を育てる思考サイクル

 

本書の肝となる前半部分では、言葉を

「書いたり話したりする外に向かう言葉」と

「頭の中で発している内なる言葉

に分けて内なる言葉、つまり思考・意見を深める『思考サイクル』の方法が書かれています。

 

 

①頭にあることを紙に書き出す

 

②「なぜ?」「それで?」「本当に?」で考えを進める

 

③同じ仲間を分類する

 

④足りない箇所に気付き、埋める

 

⑤時間を置いて、きちんと寝かせる(客観性の確保)

 

⑥真逆を考える

 

⑦違う人の視点から考える

 

 

本書を読み進め、この思考サイクルを実践すると、不思議な事がたくさん起こります。

 

「思考サイクル」の効果と効能

思考サイクルを繰り返し行っていると、次のような効果が得られます。

(個人的な体感です)

 

・IQが高くなる

・自分の考えを深く理解し、育てることができる

・言うことに説得力が出る

・頭の中が整理できる

・思考の訓練になる

・物事を客観的に捉えられるようになる

自己実現できそうな気がする

・人生が変わる気がする

・新しい自分になる気がする

 

などなど、目覚ましい成長を実感できます。

 

ですが、これは元々の未熟さと比例した成長ですので、あくまでボンクラな私個人の見解です(笑)

 

これからどうするか

本書を読了した上で、今後どのうように生きていくのか、それこそが本当に重要です。

 

現段階では、ものすごく良い効果がある感じがしますが、これは継続性があるものなのか、本当なのか、まずは自分自身を使って検証してみる必要があります。

 

できればたくさんの方の感想や体験談を聞いて、知見を蓄えていきたいと思います。

(皆さんのコメントをお待ちしております)

 

まとめ

著者の梅田悟司さんは電通の伝説的なコピーライターです。

その超人級のライティングの基礎となる「内なる言葉を育てる方法」が本書のメインコンテンツとなっています。

 

本書に書かれている「思考サイクル」はビジネスの現場に例えると、

 

・生産ラインの作業を見直して、コストを掛けずに効率を上げる

・商品の性質を客観視して、別のターゲットやマーケットを見つける

・在庫を現金化して再投資に回す

 

などの観念と似ていると私は感じました。

 

いずれも、今あるものを有効活用することで成果を伸ばすという点が共通しています。

 

「まずは意見を育てる」の元になっている意見とは、誰しもが持っている固有の良さであり、固有の面白さのこと。

 

著者はそう信じて本書を執筆したのではないでしょうか。

 

 

「言葉にできる」は武器になる。

「言葉にできる」は武器になる。

  • 作者: 梅田悟司
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2016/08/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)