行き着く先は「何がやりたいことなのかわからない問題」
働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる
著者の橘玲(たちばなあきら)氏の著作は、「幸福」に軸を置いてお金や仕事の話を綴ったものが多いという印象です。
私は著者のトークイベントに参加したこともありますが、著者の本分は「分析と考察」にあり、金儲けの実践や栄達とは距離を置いていると感じました。
それは本書も他の著作も同様で、一つのパターンを用いて表現されています。
それは
①証拠(エビデンス)
②分析
③方法論
という構成です。
①ということは、②であるから、③をするのが最適
本書もそういった内容です。
要するに「働き方」はどうなるのか
本書の①証拠(エビデンス)にあたる部分では、端的に言うと
「日本の会社、サラリーマン、やばいぜ!」
という内容です。
特に、「正社員」とは身分制度であるという気づき(正社員は英訳がない)から、日本とはグローバルスタンダードから周回遅れの身分制度社会という現状を炙り出して行きます。
現役サラリーマンである私なぞはここまで読んで「うわ、やばい!」と胸のあたりが苦しくなってきます。
著者はスタイルとして、物事を悲観的もしくは楽観的に捉えたりしないように心がけているので、余計にリアリティがあり「うわ、やばい!」がどんどん積み上がっていくのです。
②の分析では、結論として働き方を6つの階層に分けています。
ざっくりで表現すると
1.資本家
2.クリエイター、スペシャリスト
3.管理職
4.マニュアルに沿った仕事をする人
5.単調な仕事をする人
6.日雇い、その日暮らし
という階層構造で、1から6の順で収入が下がっていきます。
そして、
あと10年もすれば、サラリーマンは確実に絶滅することになるのです。
と結んでいます。
会社に属す、属さないという形態は残るにしても、「サラリーマン」「正社員」という身分制度は無くなるということです。
じゃあどうする?
著者の作品の特徴は最後の「③方法論」の部分が抽象的なのがいつももどかしいと私は感じています。
しかし、誰にでも該当する内容で書いてある以上、そうならざるを得ないのもわかってはいるのです。
著者が結論としているのは、
「好きなことで生きていくしかない」
ということです。
これからは「人生100年時代」に突入し、人は60年間働くことになります。
「やりたくないこと」が60年も続けられるはずがありません。
だから、なんとか自分の好きなことをマネタイズして、それで生きていくしかないのです。
長く働き続けないと生活苦が待っていることを本書ではガッチリと説明しています。
本書を最後まで読んでの私の感想は
「自分のやりたいこと……なんだろう?」
という困惑です。
この「何がやりたいことなのかわからない問題」は今、非常に重要な問題で、あらゆる本で語られています。
ちなみに、著者はそのことをテーマに「残酷すぎる成功法則」を共著 しています。
今現在、正社員として働いている方々は、来るべきサラリーマン絶滅時代にどういった方向性で生きていくのか、それを考える良い機会として本書の一読をおすすめします。
まあ、私個人としては「なんとでもなる」「逆に良いかもしれない」などと思ってはいるんですけどね。
※本書の「ポジティブな選択をするとものすごく有利になる」という言葉を受けて