社内政治は最もラクで得!誰でも組織を変えられるぞ!
THE TEAM ザ・チーム 5つの法則
麻野耕司 (著) 幻冬舎
「今さら『チーム』とか言われても、え~っ!、ってなりません?」
本書の出版記念トークイベントは、著者のそんな身も蓋もない話からスタートしました。
(左:著者 右:箕輪厚介 )
ご存知カリスマ編集者の箕輪さんと本書の制作秘話や持論、世相などをざっくばらんに語っていました。
今回は「結果、本書『THE TEAM(ザ・チーム)』を興味深く読むことになる無軌道なトークショー」の内容をつまみながら感想を述べたいと思います。
編集箕輪の「著者に興味湧かない問題」
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箕輪「僕は本の編集を受け持つ時、知識とかノウハウとかじゃなくてその人の『人生』を書くかどうかという基準を持っているんですよ。だから麻野さんには正直興味なかったです」
著者「それはめっちゃそうだろうな(興味ないだろうな)と思ってた」
箕輪「だって麻野さんって、リンクアンドモチベーションっていう上場企業のコンサルの人っていうイメージで、面白くなさそうだなって」
著者「だからこの本書く時に編集を箕輪さんにって言ったら、偉い人から『一度会食の場を設けようか?』って言われて、それは絶対やめてくれってなった。だって、そうしてたら絶対興味なくすでしょ?」
箕輪「そりゃそうですよ!もちろんそういう仕事もやりますよ。まぁフルコミットすることはないですけど」
著者「そうなると思ったから、『強制じゃだめ、共感じゃなきゃ』となった」
箕輪「会長のセッティングなんてもってのほかですね」
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(トークショーより)
箕輪さんは今日本で一番有名な編集者で、幻冬舎で働きながらオンラインサロンをやったり、その他の仕事もバンバン受けたりと、インフルエンサーとしての立ち位置を確立しています。
著書も10万部以上のヒットを飛ばし、カリスマ編集者と言って間違いない存在です。
つまり、「本を出すなら編集は箕輪」というのが今売れる本の方程式となっているわけです。
そこに着目した著者は、本書にも書かれている「意義目標」を持って箕輪さんを口説きました。
意義目標を適切に設定するのが良いチーム
本書では、目標に関して3種類あるとしています。
・行動目標……何をやる
・成果目標……いくら売る
・意義目標……何のためにやる
これらの目標が、そのチームにあった内容で設定されていることが良いチームとなる条件です。
今回、著者は箕輪さんを担当編集になってもらうために、この「意義目標」を熱く語り口説き落としたとのこと。
麻野さんが設定した本書の意義目標は
日本中のすべての人に、ひとりひとりの力を活かせる組織を、チームを、届ける。
そのために、組織を形づくるひとつひとつのチームの力を最大限引き出す。
(261ページ)
というものです。
この意義目標から、箕輪さんは「精神論ではなく、客観的で科学的なものでチームを捉えて法則化して、大学3年生がわかるレベルまで落とし込む」っていうのは面白いなと感じたそうです。
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箕輪「これまで自分も自然とチーム作りや運営をやってきたけど、意義目標とか無意識でやっていた。無意識でやっていたことを言語化されると再現性が増してすごく良くなる」
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(トークショーより)
かくして、「チーム作りの法則化」と意義目標である「良いチームを日本に届ける」という熱い著者の思いが本書の面白さとなったわけです。
チームは、つまり社内政治
今回のトークショーの質疑応答で、こんな象徴的なやり取りがありました。
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(自分が必要がないと思っている資格を、上司に取れと命令されているがどうすればいいかという質問に対して)
箕輪「上司から嫌なことを命令されるとか、つまりは社内政治の問題でしょ」
著者「僕も会社で社内政治めっちゃ頑張ってるけど」
箕輪「社内政治は一番ラクで一番得でしょ!」
著者「その通り!」
箕輪「俯瞰で考えたら上司から嫌な命令されるのはどういう影響があるのか、そこをクリアしたら何が起こるのか、自分がしたいことにどうつながってくるのか、とか客観的に考えたら、社内政治で解決できることってめちゃくちゃ多いし、めちゃ楽だと思う」
著者「僕もそうやってプライドなんてはじめから持たずに偉い人に頭ガンガン下げて社内政治に励んで50億使わせてもらった。自分で事業やってたら50億なんて絶対引っ張ってこれない金額だけど、会社なら本気でやってちゃんと収益出すと思われたら可能になっちゃう」
箕輪「社内政治で得られるもの本当に多いわ~」
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(トークショーより)
つまるところ、チームというのも社内政治のひとつだなと私は考えました。
政治と言っても、駆け引きや騙し合いではなく、
「相手の立場と自分の立場をどう認識し、何をしてあげて何をしてもらうのか」
ということです。
これらをある単位の人数で整えていくことがチーム作りといえるのかもしれません。
著名なプロサラリーマンであるお二人が「社内政治は最高!」といっているわけですから、チームのことを考えると同時に、社内政治にもリソースを割く必要がありそうです。
まとめ
トークショーの内容を中心に書いてしまいましたが、本書は内容がしっかりとした「チームの教科書」になっていることは間違いありません。
ですが、これをいかにして使うかは読んだ人次第だと思います。
ちなみに、ビジネスマンにとって(人にとって?)最強の武器は2つあると箕輪さんは語っていました。
1.相手を深く理解すること
2.自分の強みを磨くこと
著者は最強の編集者「箕輪厚介」とチームを組むために、箕輪さんの価値観を徹底的に調べ、「本を出して売りたい人」ではなく、チーム変革者「麻野耕司」として、真正面から接しました。
理路整然としていて、法則やメソッドを明確にしている本書にも、熱い血が流れていることを、肝に銘じておすすめさせていただきます。